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途中式を省く習慣が、数学の思考力の成長を止めている
突然ですが、こんな子を見たことはありませんか?
「計算は速いのに、なぜかテストで点が取れない」
「基本問題はできるのに、応用になると手が止まる」
「数学が苦手というわけじゃないけど、偏差値が60を超えない」
実はこれ、途中式を書かない習慣が原因であることがほとんどです。
雙葉進学教室では長年、数学が苦手な子・数学ができない理由を探ってきました。
そこで見えてきた一つの明確なパターンがあります。
それが「途中式を書かない子は、一定の壁を超えられない」という事実です。
途中式は「答えを出すためのメモ」ではなく「思考の言語化」である
多くの中学生が誤解していることがあります。
「途中式=めんどくさい作業」
違います。
途中式とは、自分の思考を言語化するプロセスです。
数学の勉強法として最も重要なのは「正解を出すこと」ではなく、
「どうやって正解にたどり着いたかを再現できること」です。
途中式を書くという行為は、まさにその再現性を担保するためにあります。
数学の思考力は、頭の中だけで完結する作業ではありません。
紙の上に思考を展開することで、初めて論理の流れが見えるのです。
途中式を省く子が偏差値60で止まる理由は、大きく3つあります。
① エラーの発見ができない
頭の中で計算を進めると、どこで間違えたかが追えません。
計算ミスの原因の多くは、思考の途中にあります。
途中式があれば「ここで符号を間違えた」と特定できますが、
式がなければ「なんとなく間違えた」で終わってしまいます。
② 論理の飛躍に気づけない
偏差値60以上の問題は、複数のステップを組み合わせる応用問題が中心です。
一つひとつのステップを式として書き出さないと、論理の飛躍が起きていても自分では気づけません。
③ 復習ができない
数学の復習方法として最も効果的なのは「自分の解答プロセスを見直すこと」です。
しかし途中式がなければ、復習しようにも何も残っていません。
偏差値60の壁は「思考の言語化」不足が原因
全国の模試データや学習塾の指導記録をもとにした調査では、次のような傾向が報告されています。
- 偏差値55〜60の生徒の約7割は、「計算の途中経過を書かない」または「一部しか書かない」傾向がある
- 偏差値65以上の生徒の約8割は、「解法の全ステップを式として記録している」
- 途中式を書く習慣をつけた生徒は、3ヶ月以内に平均で偏差値が3〜5ポイント向上するという指導記録がある
これは偶然ではありません。
数学が得意な子の特徴として、ほぼ例外なく「途中式を丁寧に書く」という習慣があるのです。
数学ができるようになる方法を中学生に教えるとき、最初に伝えるべきことはテクニックでも公式でもありません。
「思考を紙に残す習慣」です。
途中式を書き始めたら偏差値が8上がったAくんの話
雙葉進学教室に通う中学2年生のAくん(仮名)は、入塾当初、典型的な「計算は速いけど点が取れない」タイプでした。
定期テストでは70点前後を取るのに、模試になると偏差値は58〜60をうろうろ。
数学が苦手というわけではないのに、なぜか伸びない。
そんな状態が続いていました。
指導の中で気づいたのが、Aくんのノートには答えしか書かれていないということです。
計算過程はすべて頭の中。式は一切残っていませんでした。
そこでビッグロック博士がAくんに伝えたのは、シンプルな一言です。
「頭の中の計算を、全部紙に出しなさい」
最初は「めんどくさい」と嫌がっていたAくんですが、途中式を書くようにしたことで変化が起き始めました。
1週目:「あ、ここで計算ミスしてた」と自分でエラーに気づくようになった
2週目:「この式とこの式がつながってる」と論理の流れが見えてきた
1ヶ月後:応用問題で「どのステップから考えるか」が自分で判断できるようになった
3ヶ月後:模試の偏差値が68に。8ポイントの向上を達成。
Aくん自身が言っていたのが印象的でした。
「途中式を書いたら、数学が日本語みたいに読めるようになった」
まさにこれが、数学の思考力を鍛えるということです。
今日からできる「途中式習慣」の作り方
数学の勉強法として途中式を定着させるために、中学生にわかりやすく3つのステップをお伝えします。
STEP 1|「答えを出すな、プロセスを書け」ルールを設ける
まず意識を変えることが先です。
「途中式は答えを導くためのメモ」ではなく、「途中式こそが答えである」と考えてください。
採点者(先生・試験官)が見ているのは答えではなく、思考の流れです。
答えが合っていても途中が間違っていれば部分点も得点も危うくなります。
逆に答えが違っても、途中式が正しければ部分点がもらえます。
実践方法: 問題を解くとき、「自分がロボットに解き方を教える文章を書く」つもりで式を展開する。
STEP 2|「なぜこの式を立てたか」を一言書く習慣
数学が苦手な子の共通点の一つが、「式は書けるけど意味がわかっていない」状態です。
式の横に短い理由メモを書くだけで、論理の構造が見えてきます。
例:
x + 3 = 7 ← 問題文の条件を式にした
x = 7 - 3 ← 両辺から3を引いた
x = 4 ← 答え
この「一言メモ」が、数学の思考力の鍛え方として非常に効果的です。
STEP 3|間違えた問題は「どのステップで間違えたか」を特定する
数学の復習方法として最も効果が高いのは、「どこで間違えたかを特定する復習」です。
途中式があれば、これが可能になります。
復習の手順:
- 途中式を見直し、どのステップまでは正しかったかを確認する
- 間違えたステップに赤ペンでチェックを入れる
- そのステップだけをもう一度解き直す
「全部解き直す」のではなく「間違えたポイントだけを直す」。これが数学が伸びない理由を克服する最速の復習法です。
まとめ:数学ができるようになる方法は「思考を可視化すること」
数学が苦手な理由、数学ができない理由の多くは、才能でも地頭でもありません。
思考を紙に出す習慣があるかどうか、それだけです。
途中式を書くことは、数学の勉強法の中でも最もシンプルで最も効果が高い習慣です。
中学生の数学勉強法として特に重要なのは、この「思考の言語化」を日常に組み込むことです。
数学が得意な子の特徴は、特別な才能ではなく、「自分の頭の中を紙に出す習慣」にあります。
偏差値60の壁は、決して越えられない壁ではありません。
今日から、途中式を1行増やすだけでいい。それだけで、あなたの数学の景色は変わり始めます。
雙葉進学教室では、数学・理科を専門とした少人数指導でお子さんの「解き方の習慣」から丁寧に指導しています。
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大岩裕之(おおいわ ひろゆき) 雙葉進学教室 塾長。数学教育学修士・専修免許状取得。ロンドン・ニューヨーク・上海など6都市での指導を経て、2015年より半田市にて開校。指導歴40年・数学・理科専門。