数学が伸びる勉強法

テスト返却後にやるべき!ミスを減らす具体的な方法

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テスト返却日の夜、「次は気をつける」で終わらせていませんか

答案が返ってきて、赤ペンの跡をたどる。

「あ、ここ、符号を間違えただけだ」
「問題文、ちゃんと読んでなかった……」
「わかってたのに、もったいない」

そして最後に、こうつぶやく。

「次は気をつけよう」

保護者の方も、思わず口にしていませんか。

「なんでこんな問題でミスするの」
「見直せば防げたでしょう」

ところが次のテストでも、また同じ場所で、同じ種類の失点をしてしまう。

これは、お子さんの注意力が足りないからではありません。

「次は気をつける」
では、原因を特定できていないので、
次のテストでも同じ失点が再現されてしまう

のです。

こんにちは。
雙葉進学教室の「ビッグロック博士」です。

数学の指導に40年携わり、教育学修士(数学教育)として学び方を研究してきました。
大阪・沖縄・愛知の塾に加え、
東京の大手塾の海外校(ロンドン、ニューヨーク、上海)でも、日本人生徒の受験指導をしてきました。

今日は、テスト返却後の過ごし方を変える話をします。

キーワードは

「バグ分析」

です。

読み終わるころには、返却日の夜にやることが具体的に見えているはずです。

ミスを「バグ」と捉える理由とその修正方法

  • テストの失点の多くは、気合いや注意力の問題ではなく、どこかの工程に潜む「バグ」である
  • バグは居場所を特定すれば、直せる
  • 直し方は、正解を写すより「自分の考えの理屈」を見るほうが効く可能性がある
  • 直したあとは、何も見ずに解き直して「再現テスト」をする

プログラミングの世界では、
思い通りに動かない原因を「バグ」と呼び、

「どの工程で、どんな条件のときに起きるか」

を特定してから直します。

「次は気をつけてプログラムを書こう」
と反省するだけの人はいません。

数学の失点も、同じ扱いができます。

「気をつけろ」では解決しない理由と人間工学の視点

そもそも、
「気をつければミスはなくなる」
という前提が、実は少しズレています。

中学受験の指導者として知られる宮本毅氏は、
ケアレスミスは人間工学の世界では

「ヒューマンエラー」

と呼ばれ、科学的な分析が進んでいる、
と述べています。

そして身近な例として、次の2つを挙げています。

  • 電子レンジ:扉を開けたままだと、スタートのスイッチが入らない
  • オートマ車:ギアをパーキングに入れ、ブレーキを踏まないと、エンジンがかからない

どちらも、ミスを根絶するための機能ではありません。

「ミスをしてもいいように」作られた仕組み

です。

人間工学は
「人間はミスをするもの」
という前提に立っているのです。

数学の勉強に置き換えると、こうなります。

  • ❌ 「ミスをゼロにする」と決意する
  • ⭕ 「ミスのタイプを知り、気づける仕組みを作る」

河合塾の藤田貴志先生も、
丸つけで正誤判定だけして終わり、
自分のミスの原因を把握できていないと、
同じ誤りを繰り返す恐れがある、
と指摘しています。

つまり、返却日にやるべきことは「反省」ではなく「診断」なのです。

「バグ」としてのミスの再現性とその重要性

アメリカの教育研究機関IRIS Centerは、数学のエラー分析を、

「同じ種類の誤りを一貫して繰り返しているか」

というパターンを見つける診断として説明しています。

誤りの原因は、不注意の場合もあれば、
概念の誤解やスキル不足の場合もあります。

ここが「バグ」という見方の核心です。

  • 一度きりの偶然 → 気にしすぎなくていい
  • 同じ種類の失点が繰り返される → 再現性のあるバグ。原因がどこかにある

テスト返却後は、答案を眺めて「悔しい」で終わらせず、

「この失点は、前にも見たことがあるか?」

と問いかけてください。

ちなみに、鮫川村立鮫川中学校の学習だよりでは、
分析の最初のステップとして、
テストの結果を受けて感じたこと(悔しい気持ちなど)を
ノートに書いて言語化するよう勧めています。

悔しさを無理に押し込める必要はありません。

まず書き出してから、診断に入りましょう。

ミスを特定するための4つの工程

では、バグはどこに潜んでいるのでしょうか。

数学の問題は、頭の中で次の流れで処理されます。

  1. 入力(問題を読む)
  2. 変換(式を立てる)
  3. 処理(計算する)
  4. 出力(答えを書く)

この4工程のうち、
どこで落ちたかを特定します。
(※この4工程への整理は、複数の資料をもとに、私が使いやすいようにまとめたものです)

工程①:入力のバグ(読み違い・読み飛ばし)

  • 「すべての解を答えよ」と書いてあるのに、解を1つしか書いていない
  • 条件の「以上」「より大きい」を取り違えた
  • 問題文の大事な部分を読み飛ばした

ベネッセの受験情報サイトでも、

「すべての解を答えよ」

と書かれているのに1個しか解を挙げていなかったら少し怪しい、
と例を挙げています。

線を引きながら読むと、注意力が上がり、
見直しもしやすくなるとも述べています。

また、文章題については、
問題文をよく読んでいない子、
与えられた数字から何となく式を立ててしまう子が少なくない、

という指導者の指摘もあります。

工程②:変換のバグ(立式のミス)

  • 文章題を、正しい式に直せていない
  • 問題の意味を理解しないまま、キーワードだけで式を立てている

小学生を対象とした研究でも、
文章中のキーワード(「あわせて」「多い」など)だけを手がかりに
解いてしまう子がいることが報告されています。

計算問題は解けるのに文章題が解けない子の多くは、
「式に表す」というこの工程でつまずいている、

という指摘もあります。

工程③:処理のバグ(計算ミス)

大学の線形代数の答案を分析した稲葉宏和氏の研究では、
理解不足以外のミスのパターンとして、
次のようなものが挙げられています。

  • 計算規則の間違い
  • 暗算ミス
  • 文字・数字・式の読み間違いや転記ミス
  • 前提条件の抜け

河合塾の藤田先生は、計算過程でのミスが多いのは、
処理の順序や整理の甘さに原因がある場合が多いと述べ、
結果が出たあとも、逆算などで確かめるよう勧めています。

ここで1問、試してみてください。

38 − 24 ÷ 8 + 5 × 7

正しい答えは70です。

宮本氏は、この問題で「0」と答える子が結構いると述べています。

「ケアレスミスだ」
と叱る前に、

四則演算の順序そのものがあやふやではないか

を確認する必要があります。

その場合は不注意ではなく、「理解のバグ」です。

工程④:出力のバグ(答案への転記ミス)

  • 計算は合っているのに、答えを書き写すときに間違えた
  • 問題が求める形(単位、約分、条件に合う解)で書けていない

文章題は
「読む→理解する→式を立てる→解く→条件に合った解答を書く」
という流れで進み、

どの工程でつまずいているかを明確にして学ぶ必要がある、
という指摘があります。

最後の「条件に合った解答」も、落とし穴の1つです。

優先的に直すべき問題の見極め方

失点がたくさんあると、どこから手をつけるか迷います。

優先順位は、次のとおりです。

最優先:「解けたと思っていたのに間違えた問題」

宮本氏は、模試の成績表の「正答率一覧」を見て、
正答率が50%を超えているのに自分が間違えた問題をチェックすると、
ミスの傾向がつかめる、と述べています。

学校のテストでは正答率の表がないことが多いので、
次のように置き換えてください。

  • ワークや授業では、普段は解けていた問題
  • 友達の多くが取れていた問題
  • 「これは大丈夫」と思って、見直さなかった問題

こういう問題での失点は、実力はあるのに点を落としている状態です。

バグを直した効果が、いちばん早く点数に出ます。

【実験データ】直しの質で差がつく。「正解」より「自分の理屈」を見る

ここからが、今回いちばんお伝えしたい部分です。

「間違えた問題を直す」
とき、あなたはどうしていますか。

  • 解答を見て、正しい解き方を写す
  • 解説を読んで「なるほど」と思う

これは多くの人がやる直し方です。

ところが、ある実験で、

別の直し方のほうが効果的

だという結果が出ています。

ライプニッツ科学教育研究所(IPN)が紹介している研究では、
7・8年生(日本の中1〜中2に近い学年)174名が分数の練習をしました。

生徒はランダムに、次の2つのグループに分けられました。

  • グループA:自分の誤りの「理屈(なぜそう考えたか)」を振り返る
  • グループB:自分の誤りに対応する「正しい解き方」を振り返る

結果は、次のとおりです。

  • 事後テスト、フォローアップテストの両方で、グループAのほうが手続き的知識(解き方の力)が高かった
  • フォローアップテストでは、グループAのほうが概念的知識(意味の理解)も高かった

つまり、
「正解を写す」直しより、

「自分はなぜそう書いたのか」を言葉にする直し

のほうが、定着しやすい可能性があるのです。

(これは分数を扱った1つの実験で、すべての単元・状況に当てはまるとは限りません。ただ、直し方を見直すヒントとしては十分に価値があります)

私なりの解釈をお伝えします。

正解を写す直しは、
「正しい答え」を知る作業です。

ところが、バグが起きた原因は、
あなたの考えのどこかにあります。

正解を見ても、その原因は消えません。

「自分の理屈」を見ることで初めて、
バグの居場所が見えてくる

のです。

自分の理屈を引き出す、3つの質問

返却日の直しで、次の3つを自分に問いかけてください。

  1. この答えを書いたとき、自分は何を考えていた?(頭の中の理屈を言葉にする)
  2. どこまでは合っていた?(正しかった部分を確認する)
  3. どの行から、正解と分かれた?(バグの居場所を特定する)

保護者の方は、
「なんでこんなミスしたの」
と問い詰めるかわりに、
この3つを質問してあげてください。

叱る時間が、診断の時間に変わります。

「直した気になる」を防ぐ、再現テスト

直し終わって、ホッとしていませんか。

実は、ここに落とし穴があります。

直したつもりで、バグが残っている

ことがあるのです。

大学の上級物理を学ぶ学生を対象にした研究では、
中間試験で出した問題を期末試験で再び出題しても、
平均点は有意に上がらなかった、

と報告されています。

多くの学生が、間違いを学習の機会として
使えていない可能性が示唆されています。

(※対象は大学生なので、そのまま中学生に当てはめることはできませんが、
「反省しただけでは身につかない」という点は共通しています)

そこで必要なのが

「再現テスト」

です。

鮫川中学校の学習だよりでも、練習の第一歩として、
もう一度何も見ずに解き直すことを挙げています。

分析がしっかりできているかを確認できるからです。

やり方は簡単です。

  • 返却当日:自分の理屈を言葉にして、直しをする
  • 数日後:解答を見ずに、同じ問題を解き直す
  • 解けたらバグは修正完了。解けなかったら、診断をやり直す

さらに、時間を空けるのにも意味があります。

現代ビジネスの記事では、答案を書いた直後に見直すより、
少し時間を空けてから見直すほうが、
間違いは見つかりやすいと述べています。

「数日後に何も見ずに解く」
のは、理にかなっているのです。

今日から使える「バグ報告書」テンプレート

ミスノートは続かない、
という声をよく聞きます。

ポイントは、

書く項目を絞ること

です。

1問につき、次の5項目だけにしましょう。

【バグ報告書】

  • 問題:(単元・問題番号)
  • 落ちた工程:入力(読む)/変換(立式)/処理(計算)/出力(答案)/そもそも解き方がわからない
  • そのとき考えていたこと:(自分の理屈を1〜2行で)
  • 次の一手:(具体的に。「気をつける」は禁止)
  • 再現テスト:(日付と結果 ○/×)

ポイントは、「次の一手」に「気をつける」と書かないことです。

  • ❌ 「符号に気をつける」
  • ⭕ 「かっこを外す行で、符号を矢印でチェックしてから次に進む」
  • ❌ 「問題文をよく読む」
  • ⭕ 「『すべて』『以上』『以下』に線を引いてから解く」

行動に変えられる言葉だけを書きます。

これが、
「ミスをしてもいいように」
の仕組みづくりです。

なお、診断の結果が
「そもそも解き方がわからない」
だった場合は、ミスではなく理解不足です。

その場合は、教科書やノートの基本に戻って、
解き方そのものを学び直してください。

これは「ミスの対策」では直りません。

今日からできる、3つの行動

最後に、返却日からできることをまとめます。

悔しさを書いてから、失点を数える

まず、感じたことをノートに一言書きます。

そのうえで、失点を「落ちた工程」ごとに仕分けします。

「自信満々で間違えた問題」から、3つの質問で直す

「何を考えていた?」
「どこまで合っていた?」
「どの行で分かれた?」

の3つです。

正解を写す前に、自分の理屈を言葉にしてください。

数日後に、何も見ずに解き直す

解けたらバグ修正完了です。

解けなければ、診断からやり直します。

次のテストで同じ失点をしないために必要なのは、
「気をつける」
という決意ではありません。

バグの居場所を特定して、直して、再現しないことを確かめる

という、診断の手順です。

テスト返却後の「診断」を、一緒にやりませんか

「自分でやってみたけれど、失点がどの工程のバグなのか判断がつかない」
「お子さんの答案を見ても、不注意なのか理解不足なのか、親では見分けられない」

そんなときは、数学の指導経験が豊富な第三者の目が役に立ちます。

雙葉進学教室は、愛知県半田市にある、数学・理科に特化した進学塾です。

40年の指導経験を持つ塾長が、半田高校・横須賀高校を目指す中学生の数学を、
「考え方」から指導しています。

テスト返却後の答案を見ながら、
「この失点は、どこのバグなのか」
を一緒に確認したい方は、お気軽に雙葉進学教室までお問い合わせください。

「次は気をつける」を卒業して、次のテストの得点につながる直しを始めましょう。


大岩裕之(おおいわ ひろゆき) 雙葉進学教室 塾長。数学教育学修士・専修免許状取得。ロンドン・ニューヨーク・上海など6都市での指導を経て、2015年より半田市にて開校。指導歴40年・数学・理科専門。

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