数学が伸びる勉強法

体育祭・文化祭で心が消耗しても、数学だけは崩れなかった話

9使── 忙しい9月を乗り切る、効率的な数学の復習方法と時間の使い方

「勉強できていない自分」への罪悪感、実はいらない

体育祭の練習、文化祭の準備、部活の大会。

9月は1年でいちばん学校行事が密集する月です。

放課後は行事の準備でクタクタ。

家に帰ったらお風呂に入って寝るだけで精一杯。

気づけば「今週、数学のワーク1ページも開いてない…」なんてこと、ありませんか。

そんなとき、多くの人がこう思ってしまいます。

「行事にかまけて勉強をサボってる自分はダメだ」

「みんな頑張ってるのに、自分だけ受験のこと考えてるのは冷めてる気がする」

でも、まず最初に言っておきたいことがあります。

行事に全力投球していいんです。
それは怠けているのではありません。

実際、体育祭や文化祭を全力で楽しんだ経験は、
後から受験勉強のモチベーションを支える「心の燃料」になることが、
多くの受験指導の現場でも指摘されています。

仲間と汗を流した記憶、不安なときに
「あの瞬間を頑張れたんだから」
と思い出せる経験は、勉強だけをしていては得られないものです。

問題は「行事を頑張ること」ではなく、
行事期間中に数学だけがゼロになってしまうこと
です。

この記事では、行事で忙しくても数学の学力を
「崩さない」ための、超現実的な方法をお伝えします。

なぜ9月は数学だけが特に危険なのか

まず知っておいてほしいのは、
数学は他の科目と比べて「ブランクからの復帰コスト」が圧倒的に高い科目
だということです。

英語の単語や社会の年号は、1週間触れなくても
「忘れていたところだけ」
を覚え直せば済みます。

いわば横並びの知識の集合体だからです。

ところが数学は違います。

数学は完全な「積み上げ科目」です。

たとえば中2で習う「一次関数」は、
実は小学生の「比例」の考え方の延長線上にあり、
さらにその先は中3・高1で習う「二次関数」へとつながっていきます。

今解いている単元がわからないとき、実はその単元自体が原因ではなく、
もっと前に習った単元の理解が抜け落ちていること
が原因になっているケースが非常に多いのです。

つまり数学のブランクは、単なる「忘却」ではなく
「土台からのズレ」を生みます。

1週間サボると、次に開いたとき
「あれ、これ全部わからない…」
という感覚に陥りやすいのはこのためです。

行事シーズンにやってはいけない最悪のパターンは、
「疲れているから今日はいいや」
を何日も繰り返し、気づいたら1〜2週間まったく数学に触れていなかった、

という状態です。

これだけは絶対に避けましょう。

「頑張る」から「守る」へ ― 行事シーズンの学習マインドセット転換

ここが今回いちばん伝えたいポイントです。

普段の勉強法の多くは
「どう効率よく前に進むか」
を教えてくれます。

新しい単元を理解する、
応用問題を解けるようにする、
模試の偏差値を上げる。

すべて「攻め」の発想です。

でも、行事で疲れ切っている時期にこの発想のまま頑張ろうとすると、
確実に息切れします。

そしてできなかった自分を責めて、
余計にやる気を失うという悪循環に入ります。

行事シーズンに必要なのは、
「攻め」ではなく「守り」の勉強法
です。

  • 新しい単元には手を出さない
  • 応用問題は追いかけない
  • 「今できることを忘れないようにする」ことだけに集中する

これだけでいいんです。

目標は「成績を伸ばすこと」ではなく、

「行事が終わったときに、ゼロから再スタートしなくて済む状態を保つこと」

この一点に絞ることで、驚くほど気持ちが楽になります。

準備期間にやること:1日5分の最低ラインルーティン

行事の準備期間(体育祭の練習、文化祭の制作などで忙しい時期)は、
まとまった勉強時間を確保しようとしないでください。

それ自体が挫折のもとになります。

代わりに、
「1日5分・数学と目を合わせるだけ」の最低ラインルーティン
を設定しましょう。

具体的にはこの3つのどれか1つで十分です。

1 計算問題1ページだけ解く

新しい単元ではなく、すでに習った範囲の計算ドリルを1ページ。

考える負荷が低く、疲れていてもできる作業です。

手が動かなくなることを防ぐのが目的です。

2 公式・解法パターンを声に出して読む

ノートやワークに書いた公式を、1分だけ音読する。

理解ではなく「記憶に触れておく」ことが目的です。

人間の脳は接触頻度が高い情報ほど重要だと判断し、
忘れにくくなるという性質があります。

毎日ちょっとだけ触れておくこと自体に意味があります。

 前回間違えた問題を1問だけ解き直す

ノートに印をつけておいた「×」の問題を1問だけ。

全部やり直そうとせず、1問に絞ることがポイントです。

これらは、登校前の着替えの合間、
部活の休憩時間、
寝る前のベッドの上、
どこでもできます。

時間割を変える必要はありません。

「今日は数学に触れた」という事実だけを毎日積み重ねる
のが目的です。

本番後48時間にやること:崩れた感覚をリセットする復帰プロトコル

行事本番が終わった直後、
多くの人が油断してしまうタイミングがあります。

「行事が終わったから、ようやく勉強に戻れる」
と思う一方で、実際には
本番の疲労が一番強く残っているのがこの48時間
です。

ここで無理に「今日から全力で取り戻す」と意気込むと、
たいてい1〜2日で燃え尽きます。

だからこそ、本番後の48時間は次のステップで進めてください。

1日目(本番当日〜翌朝):何もしなくていい

本番の疲労を抜くことを最優先にしましょう。

この日は前述の「5分ルーティン」すら無理にやらなくて大丈夫です。

行事を全力で楽しんだ達成感を、まずは味わってください。

2日目:ワーク1ページで“感覚チェック”

すでに習った範囲のワークを1ページだけ解いてみます。

目的は点数ではなく、
「どこまで解ける感覚が残っているか」
の確認です。

もしスラスラ解けたら安心して大丈夫。

もし「あれ、これ解き方忘れた」という問題があれば、
そこだけノートやテキストに戻って確認します。

3日目以降:通常ペースに段階的に戻す

2日目の感覚チェックで見つかった「抜け」を1〜2個ずつ埋めながら、
徐々にいつもの勉強量に戻していきます。

一気に取り戻そうとせず、3〜4日かけて元の状態に戻るイメージで十分です。

行事直後にダメージを受けた学習リズムは、丁寧に戻せば必ず取り戻せます。

焦って詰め込むより、この段階的な復帰のほうが結果的に早く元の調子に戻ります。

まとめ:全力で行事を楽しんでいい理由

9月の数学対策で大切なのは、次の3つだけです。

  • 行事期間中は「攻め」をやめて「守り」に徹する
  • 1日5分、数学と目を合わせる最低ラインだけは死守する
  • 行事本番後は焦らず、48時間かけて段階的にリズムを戻す

数学は積み上げ科目だからこそ、
崩れるときは一気に崩れます。

でも逆に言えば、完全にゼロにさえしなければ、崩れることはありません。

行事で忙しいこの時期は、
勉強をたくさんできないことを責める必要はまったくありません。

今日紹介した「守りの学習法」を武器に、
行事も勉強も、どちらも後悔なく乗り切ってください。

体育祭・文化祭、思いきり楽しんできてくださいね。


大岩裕之(おおいわ ひろゆき) 雙葉進学教室 塾長。数学教育学修士・専修免許状取得。ロンドン・ニューヨーク・上海など6都市での指導を経て、2015年より半田市にて開校。指導歴40年・数学・理科専門。

雙葉進学教室のホームーページはこちらから

-数学が伸びる勉強法